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2017-10

あなたになら言える秘密のこと - 2012.10.21 Sun

多分、日本でこの映画を観た人の半数以上が思ったであろう

この邦題はちょっと雰囲気違い過ぎね!?

ということを私も呟いておきます(笑)


★★★ネタバレあり★★★


最初の方と最後に女の子の声でナレーションが入る。

最初は「え?何?」って感じで
最後で「ああ、そうだったのか…」となるのは

ヒロインのハンナの最初の状態、少しずつ変わっていく様子、ようやく語る過去
そして名前を言った時に「ああ、そうだったのか…」となるのと同じ。


工場で働くハンナ
お弁当は、ご飯とチキンと林檎
誰とも話さず、誰とも目を合わさず
仕事が終われば補聴器のスイッチを消し外界の音からも離れて

帰るのはガランとした部屋
洗面所には石鹸の山
ガランとした冷蔵庫
夕食は、ご飯とチキンと林檎
暇な時は刺繍をして

独りぼっちのまま眠るだけ―


真面目過ぎる仕事ぶりと皆と全く交流をしないハンナは
上司から強制的に休暇を取らされ旅行に出かける。

仕事の時と同じ様に淡々と支度をし無表情のまま出掛け
バスの中では刺繍。
それが単なる時間潰しであることを示す様に
目的地に降り立てばゴミ箱に捨ててオシマイ。

後ろの座席に座っていた見知らぬ年配女性は2人連れで
他愛ないお喋りをしてお菓子を食べて目的地に到着すれば「良い所ね」と喜んで
ハンナが“普通”でないことを際立たせている。

ホテルに着けば綺麗に整えられているベッドを
耐えられないものでも見たかの様にグチャグチャにするハンナ。


彼女の“秘密”を知った後で思い出すと、これらの行為の理由が察せられる。
生きていることを喜べない
人生を楽しんではいけない
外の世界に出て行きたいとは思えない
何かをしていなければ自分の思いに耐えられない
ベッドは…きっとベッドは直接的な苦痛の記憶…

「暇に潰される前に暇を潰そう」
そんなハンナが休暇を別の仕事で埋めようと考えたのは無理からぬこと。
油田掘削所で事故があり看護師を必要としていることを知ったのは全くの偶然だけど
そのくらいの奇跡があって良い。

掘削所には少数の人しか残っていないけれど
それでも人と接しなければならない>少人数だからこそ濃密になる部分もある
それは彼女には計算内だったのか計算外だったのか分からないけど
意外にも早く彼女に変化が生じ始める。


ご飯とチキンと林檎にはどういう意味があるのか、よく分からなかった。
質素であり、あまり豪勢な印象はないので、そのためなのか?
“あの状況下”にあった時に食べていたものなのか?

白米が主食の日本ではよく
「パンじゃ力が出ない」なんて言葉を聞くことがある(笑)
それと同じでパンを主食とする人々にとっては
「野菜である米ばかり食べるなんてストイック」てなもんかな?

そのせいか、最初に見られた変化は
ジョセフが残したニョッキや牛肉やアイスクリームを貪ること。


淡々と進む
説明的なことが、ほとんどない映画。

すぐには乗れなくて、ちょっと困ったりもしたけど
ナレーションに感じる何か
ハンナと患者ジョセフがそれぞれ抱える“秘密”
それらが気になるのと

静かで寂しくて
でも、どこかユーモラスでもある掘削所のアレコレ
ちょっと耳触りな音
アヒルのリサの煩いけど可愛い鳴声に
惹かれて観続けた。


掘削所にいる人々が話すことは、それぞれの事情だの事故のことだので
それぞれのキャラや抱える人生が短いシーンで浮彫になって深みを感じさせる。
それと共にミステリーの様にジョセフの事情を示唆するものともなっている。

ゲイ・カップルにはどちらにも妻子がいる
妻子を愛していても思いがけない事態に陥ることはある
…ジョセフは親友の妻を愛してしまった。

「真実を知らせることに何の意味がある」
事故で死んだ同僚は実は自殺だった
でも事故と届け出ることで残された妻子にはお金が支給される
…ジョセフは真実を告げたことにより親友を死なせてしまった

等々

波の調査をしている海洋学者は独自に貝の調査をし
海の汚染を改善したいと考えている。

そんな風に“明日”を見つめている彼をハンナは羨ましいと言う。

ハンナもジョセフも辛い過去により悲しみや罪悪感が心に広がり
明日を失ってしまった気がしている。



泳げないこと
静寂
言葉

それらが積み重なって
ハンナとジョセフの心に奇跡が起きる。


私的にはサイモンが素敵だと思ったし
彼と一緒にハンナがブランコに乗っているシーンも美しかったので
何故、「あなた」はジョセフなんだろう…という気もしないでもなかったけど>ぉ

まあ、ナイチンゲール症候群なる言葉もあるし>身も蓋もない?
ジョセフが話した看護師と15歳の少年の物語が示唆してもいるし
何より一番長く&深く触れ合ったわけだし
ジョセフが使っていた部屋を割り当てられ
ジョセフ宛の留守電メッセージをハンナは繰り返し繰り返し聞いていたし
必然っちゃ必然だね。


それにしても、ハンナの“秘密”は凄まじいものだった。
ジョセフのそれも胸痛むものではあったけど、霞んでしまいそうになるくらい…

一人称で語れないところがまた傷の深さを表している。
友人というのは明らかに自分自身のことだよね…
子供を殺すよう強制された母親も…

ジョセフはちゃんと分かってくれた。
ヘリで運ばれる時、ハンナの名を何度も叫んだことが証明している。

彼が火傷のため一時的に目が見えない設定なのも
冗談めかしながらもハンナが金髪なのを見抜いたのも
彼がハンナの本質を理解してくれる人なんだという事を示していると思う。

決して、傷を舐め合う…なんて関係じゃない。


「僕は泳ぎを練習する」
ジョセフの言葉に涙が溢れた。


台詞でのみ語るというのは演技力や演出力や色々必要で
それなしでは単なる説明に過ぎず映画としてどーよ?
となりそうなところ
これは揃っているから映像よりも却って説得力あり。

内容も衝撃的だけれど
その時のハンナや他の女性達の心情を重く深く感じられた。

勿論、甘ちゃんの私には全部はとても理解しきれないけれど。


ナレーションの子供は去って行った。
ハンナはやっと幸福になれたってことだろう。

ここはファンタジーと言って良いのかもしれない。
救いが得られないままの人の方が多いのが現実だろう。

その“現実”を全く知らないまま
聞き齧っただけでよく知ろうともしないまま
簡単に忘れ果てる私の様な人間の方が多いのもまた現実なのだ。

そこを鋭く突く映画だった。




『The Secret Life of Words』 2005年/スペイン
監督/脚本:イザベル・コイシュ
出演:サラ・ポーリー(ハンナ)、ティム・ロビンス(ジョゼフ)
ジュリー・クリスティ(インゲ)、ハビエル・カマラ(サイモン)





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