隠された時間 - 2021.03.13 Sat
この本は、スリンと一緒に約3か月間の相談記録を整理したものである。
スリンは「ファノ島子どもたち拉致事件」の容疑者を隠匿し、逃走するよう助けた。
流行のように広がった憤怒が、子供をめった切りにした。
筆者は、この本を通じてスリンの話を予断なく、伝達する予定だ。
このことがスリンを理解するとき、少しでも助けになることを願う。
(児童心理学者ミン・ギョンヒの『隠された時間』序文)
↑こういう出だしなので、これは実話を基にしているのかと誤解する人もいるらしいけど
純然たるフィクションです。
私は寧ろ逆に
純然たるファンタジーだからこそ、後半で現実と対峙することになるのが
辛くて辛くて、バッドエンドになりそうで怖くて、観るのを中断してしまった(笑)
少ししてまた観たわけだけど…
そしたら悲劇では終わらなかった。
なので、ご安心下さい>ぉ
☆★☆★☆★☆★☆★【ネタバレあり】★☆★☆★☆★☆★☆
母を亡くし義理の父親と、ある小さな島に引っ越してきた少女スリンと
身寄りがなく施設で暮らしている少年ソンミン
孤独な2人は心を寄せ合い、2人の間だけで通じる暗号を作ったりもする。
ある日、ソンミンを含む3人の少年が行方不明になり
少しして、その内の1人の遺体が発見される。
さらに少しして…スリンの前に
ソンミンだと名乗る大人の男性が現れる―
ソンミン達は時間が止まった空間に閉じ込められていた。
つーか、彼らだけが物凄く早い時間の中を生きていた…と言えるかも?
『ターン』(北村薫著)を連想した。
同じ世界では決してないんだけど
静かで孤独で
閉塞感と焦燥感があって
でも美しくもある世界。
『化石の街』(広瀬正著)そのままとも言えるんだけど
あれは、ほんの少~しずつ世界の時間も動いていて
それでも食べ物その他、時間の速さが違う主人公の身体は受け付けなかった。
こちらは世界の時間は全く動かない。
なので色々な物が空間に浮かんでいて、その描写等は面白いし
友達の1人の家族は家で皆でくつろいだ姿のまま止まっていて
友達がその姿をたびたび見に行くところは切ない。
でも、食べ物は普通に食べられる。
液体はゼリーの様に固まっているのだけど、ちゃんと飲める(食べられる)
ここはやっぱりSF的観点では、かなりのツッコミどころだろう。
それに、島から出られないまま
自分達の時間でいえば16年(後にスリンが計算)過ごしたのに
なくならないのはオカシイ(笑)
まあ、これはSFではなく、あくまでもファンタジー。
同い年の少年少女が身体的な年齢に大きな差ができてしまう
…という状況になるために必要な非現実的な要素。
スリンを演じるシン・ウンスは
大人っぽいけどこまっしゃくれた感じはなく
子供っぽさもあるけれど、アザトく作られた無邪気さでもなく
自然な感じで感情移入しやすい。
ソンミン役のカン・ドンウォンは
身体は大人でも中身は少年のまま…というのを眼差しや佇まいから醸し出している。
止まった世界で過ごした日々の中で、本を読んだりして知識は身に着けたけれど
それは部分的なものに過ぎず、少年の時のまま止まっている部分も多い。
変わりのない日々ではあるけれど長い長い時を生きてきて、友の死にも直面し
癒えない疲れを抱えている様にも見える。
ラストではさらに年を取っていたしね。
それを白髪と、さらに疲れた様な表情で一瞬にして表現してきたのが凄い。
で、最後まで観終わった時
ああ、この構図というか絵がまず頭にあって
それを描きたいがために作った物語ではないかと思った。
そしたら、どうもその通りらしい(笑)
題名で検索したら、オム・テファ監督は
「大きな波の前に並んで立つ男性と少女」の絵にインスピレーションを受け
僅か数日でこの映画の物語を完成させた―
という様な文章があったので。
だから、あのシーンが全て。
あそこで本当の意味で時間は止まり、だからこそ私達の心に残った。
そして私達の見えないところで、2人の時間は新たに動き出したのだろう。
これは不思議で美しいラブストーリー。
寓話と思えば色々な意味を見出すこともできるだろうけど
そのまま不思議で美しいラブストーリーとして心にしまっておきたい。
『隠された時間/Vanishing Time:A boy who returned』
2016年/韓国
監督:オム・テファ
脚本:オム・テファ、チョ・スレ
音楽:タルパラン
出演:カン・ドンウォン(ソンミン)シン・ウンス(スリン)
イ・ヒョジュ(幼いソンミン)キム・ヒウォン(スリンの義父)
クォン・ヘヒョ(刑事課長)ムン・ソリ(ミン・ギョンヒ)
☆楽天もう…何がなんだか日記もヨロシクです☆

DVD
カン・ドンウォンin『超能力者 』スペシャル・エディション
動画配信
スリンは「ファノ島子どもたち拉致事件」の容疑者を隠匿し、逃走するよう助けた。
流行のように広がった憤怒が、子供をめった切りにした。
筆者は、この本を通じてスリンの話を予断なく、伝達する予定だ。
このことがスリンを理解するとき、少しでも助けになることを願う。
(児童心理学者ミン・ギョンヒの『隠された時間』序文)
↑こういう出だしなので、これは実話を基にしているのかと誤解する人もいるらしいけど
純然たるフィクションです。
私は寧ろ逆に
純然たるファンタジーだからこそ、後半で現実と対峙することになるのが
辛くて辛くて、バッドエンドになりそうで怖くて、観るのを中断してしまった(笑)
少ししてまた観たわけだけど…
そしたら悲劇では終わらなかった。
なので、ご安心下さい>ぉ
☆★☆★☆★☆★☆★【ネタバレあり】★☆★☆★☆★☆★☆
母を亡くし義理の父親と、ある小さな島に引っ越してきた少女スリンと
身寄りがなく施設で暮らしている少年ソンミン
孤独な2人は心を寄せ合い、2人の間だけで通じる暗号を作ったりもする。
ある日、ソンミンを含む3人の少年が行方不明になり
少しして、その内の1人の遺体が発見される。
さらに少しして…スリンの前に
ソンミンだと名乗る大人の男性が現れる―
ソンミン達は時間が止まった空間に閉じ込められていた。
つーか、彼らだけが物凄く早い時間の中を生きていた…と言えるかも?
『ターン』(北村薫著)を連想した。
同じ世界では決してないんだけど
静かで孤独で
閉塞感と焦燥感があって
でも美しくもある世界。
『化石の街』(広瀬正著)そのままとも言えるんだけど
あれは、ほんの少~しずつ世界の時間も動いていて
それでも食べ物その他、時間の速さが違う主人公の身体は受け付けなかった。
こちらは世界の時間は全く動かない。
なので色々な物が空間に浮かんでいて、その描写等は面白いし
友達の1人の家族は家で皆でくつろいだ姿のまま止まっていて
友達がその姿をたびたび見に行くところは切ない。
でも、食べ物は普通に食べられる。
液体はゼリーの様に固まっているのだけど、ちゃんと飲める(食べられる)
ここはやっぱりSF的観点では、かなりのツッコミどころだろう。
それに、島から出られないまま
自分達の時間でいえば16年(後にスリンが計算)過ごしたのに
なくならないのはオカシイ(笑)
まあ、これはSFではなく、あくまでもファンタジー。
同い年の少年少女が身体的な年齢に大きな差ができてしまう
…という状況になるために必要な非現実的な要素。
スリンを演じるシン・ウンスは
大人っぽいけどこまっしゃくれた感じはなく
子供っぽさもあるけれど、アザトく作られた無邪気さでもなく
自然な感じで感情移入しやすい。
ソンミン役のカン・ドンウォンは
身体は大人でも中身は少年のまま…というのを眼差しや佇まいから醸し出している。
止まった世界で過ごした日々の中で、本を読んだりして知識は身に着けたけれど
それは部分的なものに過ぎず、少年の時のまま止まっている部分も多い。
変わりのない日々ではあるけれど長い長い時を生きてきて、友の死にも直面し
癒えない疲れを抱えている様にも見える。
ラストではさらに年を取っていたしね。
それを白髪と、さらに疲れた様な表情で一瞬にして表現してきたのが凄い。
で、最後まで観終わった時
ああ、この構図というか絵がまず頭にあって
それを描きたいがために作った物語ではないかと思った。
そしたら、どうもその通りらしい(笑)
題名で検索したら、オム・テファ監督は
「大きな波の前に並んで立つ男性と少女」の絵にインスピレーションを受け
僅か数日でこの映画の物語を完成させた―
という様な文章があったので。
だから、あのシーンが全て。
あそこで本当の意味で時間は止まり、だからこそ私達の心に残った。
そして私達の見えないところで、2人の時間は新たに動き出したのだろう。
これは不思議で美しいラブストーリー。
寓話と思えば色々な意味を見出すこともできるだろうけど
そのまま不思議で美しいラブストーリーとして心にしまっておきたい。
『隠された時間/Vanishing Time:A boy who returned』
2016年/韓国
監督:オム・テファ
脚本:オム・テファ、チョ・スレ
音楽:タルパラン
出演:カン・ドンウォン(ソンミン)シン・ウンス(スリン)
イ・ヒョジュ(幼いソンミン)キム・ヒウォン(スリンの義父)
クォン・ヘヒョ(刑事課長)ムン・ソリ(ミン・ギョンヒ)
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