ベティの小さな秘密 - 2013.07.28 Sun
森の緑に映える赤いコート
夜の道を走る赤い靴
精神病院を脱け出してきた青年イヴォンと
犬舎から救い出した犬のナッツと
彼らを守りたいと願った10歳の少女ベティのお話―
★☆★☆ネタバレあり☆★☆★
ベティ一家が住むのは精神病院の隣にある家。
一番の親友でもある姉は自分のことなど忘れた様に嬉しそうに寄宿舎へと移っていき
独りぼっちで眠るベティの耳に入ってくるのは口論する両親の声。
ちょくちょく外出していた母は、それでも帰ってくるのはベティのためだと
ベティに罪を負わすかの様な言い草で浮気を続け、ある日とうとう家を出て行き
ゲーム機を買って納屋をゲーム室に改装することが贖罪になるかの様な態度でいる。
病院長の父は忙しく、家庭においては妻の一件でイッパイで
ベティが可愛がっている殺処分間近の犬@ナッツを犬舎から引き取ることを拒否し
代わりに子犬を買ってやるとズレたことを言う。
顔に大きな痣がある故に誰も近寄ろうとしなかった転校生の男の子に
ただ一人話しかけ、秘密を教えようとさえしたのに>つまりそれだけ心を許したのに
実は皆と示し合わせてベティをからかうという酷い仕打ちをされる。
ベティの孤独を癒してくれた
ベティが心から守りたいと思った
ナッツとイヴォンと共にベティは旅に出る。
―という、お話
興味深いのは
現在、大人になっているベティが過去の経験として語っていること。
でも、現在のベティの姿は出てこないし、何をしているかも説明なし。
物語の最後に現在との繋がりも、詳細な事の顛末も描かれず
ただ冒頭で「とても昔」の事だと語られるだけ。
その冒頭は
ベティと姉が空き家を探検しようとしているシーン。
何もしていないのにドアがゆっくりと開き始め
怖くなった2人は一目散に逃げ帰る。
何と姉は妹を振り返りもせず、一人さっさと自転車に乗って走り去ってしまう。
「おいおい」と思ったけど…
無理矢理コジツケるなら
姉の方が確実に先に大人になっていき、自分の人生を歩んで行く。
ベティもまた誰かに頼るしかなかった子供時代に別れを告げ
自分の恐怖は自分で克服し、生きていかなければならない…という象徴?
ベティが怖がった主なものは
家と病院との境にあるドア
家の中の使われていない部屋のドア
お化け屋敷と噂される空き家のドア
病院のドアを抜けて病院側に入ったベティは
男性患者に追いかけられたりして実際に怖い思いをするのだけれど
そうした患者の一人で家政婦代わりに通ってきているローズは
誰よりもベティをよく見ていてくれたし
最初は仲良くしながらもどこかで怖がってもいたのに
色々な事に追いつめられたベティが抱きついたのはローズだった。
部屋のドアと空き家のドアは何故開いたのかさえ分からず仕舞いだったけど
あれはもしかして、ベティの心象風景だったのかも?
未知なる世界へと通じるドア。
でもそれは、まだ世間の狭い子供の目には未知なだけであって
中身を知れば何と言う事もないものかもしれないし
好きになれるものかもしれないし
嫌悪を催すものもあったとしても
以前の様に盲目的に恐がるのではなく対処の仕方を学べるかもしれない。
そうやって世界を受け入れていくことが
大人になるということなのだろう。
ベティは小さな納屋にイヴォンを匿っていたけれど
そこを出て森を抜けて、怖かったはずの空き家に行き
まさにそのドアから中へと入って行くのだ。
ラストの屋根のシーンも象徴的と言える。
イヴォンを助けようとしたのに
逆に助けられる。
死にそうな思いを潜り抜けて
上に上がる。
「エリザベスと呼んで」
小さな少女から大人の女性へと成長した瞬間。
だから、今現在のベティの姿が映されなかったのだと思う。
たださ…
「もう何もかも大丈夫だ」みたいな父親の言葉で終わったけど
何が大丈夫なんだよ!?
という疑問はちょっと残ったな。
ベティの一世一代の大冒険が
父や母や姉の問題を全てクリアしたとは思えないじゃん。
つーか
これもまた“象徴”?
もしかしたら現実は全く変化ないままかもしれない。
でも、それに対するベティの気持ちや対処の仕方が変わって
まさに大人の行動が出来る様になって
「大丈夫」となったってことなのかもしれないね。
『JE M’APPELLE ELISABETH/CALL ME ELISABETH』 2006年/フランス
監督:ジャン=ピエール・アメリス
脚本:ジャン=ピエール・アメリス、ギョーム・ローラン
出演:アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ(ベティ)
ステファーヌ・フレス(父親)、マリア・デ・メディロス(母親)
ヨランド・モロー(ローズ)、バンジャマン・ラモン(イヴォン)
☆楽天もう…何がなんだか日記もヨロシクです☆

☆ドラマ&映画感想は「REVIEWの部屋」に色々置いてあります☆

やっくんち
DVD>中古

ポスター

カフェオレボウル

夜の道を走る赤い靴
精神病院を脱け出してきた青年イヴォンと
犬舎から救い出した犬のナッツと
彼らを守りたいと願った10歳の少女ベティのお話―
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ベティ一家が住むのは精神病院の隣にある家。
一番の親友でもある姉は自分のことなど忘れた様に嬉しそうに寄宿舎へと移っていき
独りぼっちで眠るベティの耳に入ってくるのは口論する両親の声。
ちょくちょく外出していた母は、それでも帰ってくるのはベティのためだと
ベティに罪を負わすかの様な言い草で浮気を続け、ある日とうとう家を出て行き
ゲーム機を買って納屋をゲーム室に改装することが贖罪になるかの様な態度でいる。
病院長の父は忙しく、家庭においては妻の一件でイッパイで
ベティが可愛がっている殺処分間近の犬@ナッツを犬舎から引き取ることを拒否し
代わりに子犬を買ってやるとズレたことを言う。
顔に大きな痣がある故に誰も近寄ろうとしなかった転校生の男の子に
ただ一人話しかけ、秘密を教えようとさえしたのに>つまりそれだけ心を許したのに
実は皆と示し合わせてベティをからかうという酷い仕打ちをされる。
ベティの孤独を癒してくれた
ベティが心から守りたいと思った
ナッツとイヴォンと共にベティは旅に出る。
―という、お話
興味深いのは
現在、大人になっているベティが過去の経験として語っていること。
でも、現在のベティの姿は出てこないし、何をしているかも説明なし。
物語の最後に現在との繋がりも、詳細な事の顛末も描かれず
ただ冒頭で「とても昔」の事だと語られるだけ。
その冒頭は
ベティと姉が空き家を探検しようとしているシーン。
何もしていないのにドアがゆっくりと開き始め
怖くなった2人は一目散に逃げ帰る。
何と姉は妹を振り返りもせず、一人さっさと自転車に乗って走り去ってしまう。
「おいおい」と思ったけど…
無理矢理コジツケるなら
姉の方が確実に先に大人になっていき、自分の人生を歩んで行く。
ベティもまた誰かに頼るしかなかった子供時代に別れを告げ
自分の恐怖は自分で克服し、生きていかなければならない…という象徴?
ベティが怖がった主なものは
家と病院との境にあるドア
家の中の使われていない部屋のドア
お化け屋敷と噂される空き家のドア
病院のドアを抜けて病院側に入ったベティは
男性患者に追いかけられたりして実際に怖い思いをするのだけれど
そうした患者の一人で家政婦代わりに通ってきているローズは
誰よりもベティをよく見ていてくれたし
最初は仲良くしながらもどこかで怖がってもいたのに
色々な事に追いつめられたベティが抱きついたのはローズだった。
部屋のドアと空き家のドアは何故開いたのかさえ分からず仕舞いだったけど
あれはもしかして、ベティの心象風景だったのかも?
未知なる世界へと通じるドア。
でもそれは、まだ世間の狭い子供の目には未知なだけであって
中身を知れば何と言う事もないものかもしれないし
好きになれるものかもしれないし
嫌悪を催すものもあったとしても
以前の様に盲目的に恐がるのではなく対処の仕方を学べるかもしれない。
そうやって世界を受け入れていくことが
大人になるということなのだろう。
ベティは小さな納屋にイヴォンを匿っていたけれど
そこを出て森を抜けて、怖かったはずの空き家に行き
まさにそのドアから中へと入って行くのだ。
ラストの屋根のシーンも象徴的と言える。
イヴォンを助けようとしたのに
逆に助けられる。
死にそうな思いを潜り抜けて
上に上がる。
「エリザベスと呼んで」
小さな少女から大人の女性へと成長した瞬間。
だから、今現在のベティの姿が映されなかったのだと思う。
たださ…
「もう何もかも大丈夫だ」みたいな父親の言葉で終わったけど
何が大丈夫なんだよ!?
という疑問はちょっと残ったな。
ベティの一世一代の大冒険が
父や母や姉の問題を全てクリアしたとは思えないじゃん。
つーか
これもまた“象徴”?
もしかしたら現実は全く変化ないままかもしれない。
でも、それに対するベティの気持ちや対処の仕方が変わって
まさに大人の行動が出来る様になって
「大丈夫」となったってことなのかもしれないね。
『JE M’APPELLE ELISABETH/CALL ME ELISABETH』 2006年/フランス
監督:ジャン=ピエール・アメリス
脚本:ジャン=ピエール・アメリス、ギョーム・ローラン
出演:アルバ・ガイア・クラゲード・ベルージ(ベティ)
ステファーヌ・フレス(父親)、マリア・デ・メディロス(母親)
ヨランド・モロー(ローズ)、バンジャマン・ラモン(イヴォン)
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