先生を流産させる会 - 2013.01.02 Wed
「生まれる前に死んだんでしょ、いなかったのと同じじゃん」
現実に起きた事件にインスパイアされて作ったということで話題になった作品。
男子中学生だったのを女子中学生に変えたことでブーイングもあったらしいけど
私的には女の子になったことで余計に恐くて観るのが躊躇われた。
現実の事件では、先生に厳しく叱責されたり
席替えの際に障害のある生徒や不登校気味の生徒に配慮を示したこと等に
不満を持ったことがきっかけだったらしい。
だから男子のままだったら、そうした動機というか
彼らが抱える不満やその背景に重きが置かれた話になっていたかも?
でも、女子にしたことで
「サワコ、セックスしたんだよ、キモチワルクない?」
という思春期特有の潔癖さ、同じ女性性に生まれ
自分も妊娠できる身体へと変化しつつあることへの戸惑い等が
動機になっているということで
妊娠、流産、命…というものが、より際立ったと思う。
時間も短いし>約一時間
登場人物達の背景はほとんど描かれていないし>先生の夫さえも出てこない
出来るだけ余分なものを削ぎ落として、この根源的な問題に焦点を絞っている。
だけど、その分
私もまた女であるからかもしれないけど
先生自身をどうこうではなく、そのお腹の赤ちゃんを狙うという点に
嫌になるほどドロドロなもの…どうしようもなくキモチワルイモノが感じられて
堪らなく恐いなあ…と思ってたんだけど
実際に観てみたら、非常に自然にすんなりと世界に入っていけた。
あの年代の女の子ならではの
色気というのか瑞々しさというのか
何だかとても心地良さを感じた>変?
動きが良いのだ。
サッと柵を乗り越えたり、階段をスタスタと昇っていったり
机の上を渡ったり、カートを放り出したり
指輪を盗むのにワッと固まって走り抜けたり…
同時に
もっさり感もあるし
「ガキンチョ」って言葉も浮かぶし
ダサいのだ(笑)
何か、そういうところに妙に惹かれて
あっという間に観終わったって感じ。
薄暗く陰湿なホラーかと思っていたら
瑞々しい青春物語だった…って感じ。
ただ、まあ
サワコ先生が非常に強い人だし
メンバーの一人の母親が絵に描いた様なモンスターペアレントだったり
結局のところ問題児(?)は一人だけだったり
クライマックスはアクション・シーンだったり
…と、ちょっと極端かなあと思わないでもなかったけどね(^^;)
でも、一人を除くメンバー達が
安易に笑いながら参加したり
簡単に離脱したり
…というところは、ある意味リアルかも。
しかも、憧れの男性教師の方になびいちゃったりとかね(笑)
性を嫌悪してたかと思うと異性に惹かれたりとか
何かとっても「らしい」って気がする。
で、最後に一人だけ(強制されてのことだけど)協力したメンバーを
その“問題児”@ミヅキが排除しようとしたのは
彼女がチクったのだと悟ったからかもしれないし
彼女の母親から罵倒されたせいかもしれないけど
それだけでなく
母親に過剰に愛情をかけられている彼女を疎ましく思ったからじゃないかと思った。
グループの母親達が学校に集まった時、ミヅキの母親だけが来ていなかった。
ミヅキに関しては、これだけしかハッキリしたことは語られていない。
母娘の関係が希薄なのだろうか…と察せられる程度。
でも、母親の存在が自分の中で薄いなら
生まれる前に死ぬ=いなかったと同じ という発想になるのは分かる気がする。
胎児を殺すというのは、女性にとっては
母親から生まれてきた自分と、やがて母親になるであろう自分の
両方を否定することになるんじゃないかと思うんだけど>ある意味
ミヅキは自分が母親から生まれたことを本当に否定したかったのかもしれないし
自分が母親になる可能性のある生き物だということを堪らなく嫌悪してたのかもしれない。
思春期の潔癖さや気持ちの不安定さに加えて
言葉に出せない諸々があったから
彼女は一人モンスター化してしまったのかも?
深読みかもしれないけど
実際のところミヅキ一人を残し、バトルに至るところは
物語としては盛り上がるけど、やっぱモンスター化になってしまったと思うので
このくらいの背景を考えないと、ちょっとイマイチな気がしなくもない。
それと、
サワコ先生がミヅキを庇ったのは
「教師である前に女性」と言っていた先生が逆に
究極の瞬間には「教師」になったということで非常に感動的なんだけど
そこまで出来るものかな…
製作者が女性だったら同じ様に描いたかな…
という疑問も少しばかり残った。
でも、最初の話に戻るけど
妊娠、流産、命…という問題を前面に出した場合
やはり、こういう展開になるべきだとも思う。
水着の下から初潮の血が流れ出ていたミヅキと
流産の血で真っ赤に染まった先生のお尻が
鮮明な対照であり対称であったと思う。
ラストでミヅキは理解したってことだよね。
女性の方がドロドロしているけど
女性であるからこそ言葉を超えて理解できる
…と信じたい。
そこは男性の方が厄介かもね(^^;)
『Let’s Make The Teacher Have A Miscarriage Club』 2011年/日本
監督・脚本・製作:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀(サワコ先生)、小林香織(ミヅキ)
☆楽天もう…何がなんだか日記もヨロシクです☆

☆ドラマ&映画感想は「REVIEWの部屋」に色々置いてあります☆

やっくんち
↓ブルーレイ

↓DVD

現実に起きた事件にインスパイアされて作ったということで話題になった作品。
男子中学生だったのを女子中学生に変えたことでブーイングもあったらしいけど
私的には女の子になったことで余計に恐くて観るのが躊躇われた。
現実の事件では、先生に厳しく叱責されたり
席替えの際に障害のある生徒や不登校気味の生徒に配慮を示したこと等に
不満を持ったことがきっかけだったらしい。
だから男子のままだったら、そうした動機というか
彼らが抱える不満やその背景に重きが置かれた話になっていたかも?
でも、女子にしたことで
「サワコ、セックスしたんだよ、キモチワルクない?」
という思春期特有の潔癖さ、同じ女性性に生まれ
自分も妊娠できる身体へと変化しつつあることへの戸惑い等が
動機になっているということで
妊娠、流産、命…というものが、より際立ったと思う。
時間も短いし>約一時間
登場人物達の背景はほとんど描かれていないし>先生の夫さえも出てこない
出来るだけ余分なものを削ぎ落として、この根源的な問題に焦点を絞っている。
だけど、その分
私もまた女であるからかもしれないけど
先生自身をどうこうではなく、そのお腹の赤ちゃんを狙うという点に
嫌になるほどドロドロなもの…どうしようもなくキモチワルイモノが感じられて
堪らなく恐いなあ…と思ってたんだけど
実際に観てみたら、非常に自然にすんなりと世界に入っていけた。
あの年代の女の子ならではの
色気というのか瑞々しさというのか
何だかとても心地良さを感じた>変?
動きが良いのだ。
サッと柵を乗り越えたり、階段をスタスタと昇っていったり
机の上を渡ったり、カートを放り出したり
指輪を盗むのにワッと固まって走り抜けたり…
同時に
もっさり感もあるし
「ガキンチョ」って言葉も浮かぶし
ダサいのだ(笑)
何か、そういうところに妙に惹かれて
あっという間に観終わったって感じ。
薄暗く陰湿なホラーかと思っていたら
瑞々しい青春物語だった…って感じ。
ただ、まあ
サワコ先生が非常に強い人だし
メンバーの一人の母親が絵に描いた様なモンスターペアレントだったり
結局のところ問題児(?)は一人だけだったり
クライマックスはアクション・シーンだったり
…と、ちょっと極端かなあと思わないでもなかったけどね(^^;)
でも、一人を除くメンバー達が
安易に笑いながら参加したり
簡単に離脱したり
…というところは、ある意味リアルかも。
しかも、憧れの男性教師の方になびいちゃったりとかね(笑)
性を嫌悪してたかと思うと異性に惹かれたりとか
何かとっても「らしい」って気がする。
で、最後に一人だけ(強制されてのことだけど)協力したメンバーを
その“問題児”@ミヅキが排除しようとしたのは
彼女がチクったのだと悟ったからかもしれないし
彼女の母親から罵倒されたせいかもしれないけど
それだけでなく
母親に過剰に愛情をかけられている彼女を疎ましく思ったからじゃないかと思った。
グループの母親達が学校に集まった時、ミヅキの母親だけが来ていなかった。
ミヅキに関しては、これだけしかハッキリしたことは語られていない。
母娘の関係が希薄なのだろうか…と察せられる程度。
でも、母親の存在が自分の中で薄いなら
生まれる前に死ぬ=いなかったと同じ という発想になるのは分かる気がする。
胎児を殺すというのは、女性にとっては
母親から生まれてきた自分と、やがて母親になるであろう自分の
両方を否定することになるんじゃないかと思うんだけど>ある意味
ミヅキは自分が母親から生まれたことを本当に否定したかったのかもしれないし
自分が母親になる可能性のある生き物だということを堪らなく嫌悪してたのかもしれない。
思春期の潔癖さや気持ちの不安定さに加えて
言葉に出せない諸々があったから
彼女は一人モンスター化してしまったのかも?
深読みかもしれないけど
実際のところミヅキ一人を残し、バトルに至るところは
物語としては盛り上がるけど、やっぱモンスター化になってしまったと思うので
このくらいの背景を考えないと、ちょっとイマイチな気がしなくもない。
それと、
サワコ先生がミヅキを庇ったのは
「教師である前に女性」と言っていた先生が逆に
究極の瞬間には「教師」になったということで非常に感動的なんだけど
そこまで出来るものかな…
製作者が女性だったら同じ様に描いたかな…
という疑問も少しばかり残った。
でも、最初の話に戻るけど
妊娠、流産、命…という問題を前面に出した場合
やはり、こういう展開になるべきだとも思う。
水着の下から初潮の血が流れ出ていたミヅキと
流産の血で真っ赤に染まった先生のお尻が
鮮明な対照であり対称であったと思う。
ラストでミヅキは理解したってことだよね。
女性の方がドロドロしているけど
女性であるからこそ言葉を超えて理解できる
…と信じたい。
そこは男性の方が厄介かもね(^^;)
『Let’s Make The Teacher Have A Miscarriage Club』 2011年/日本
監督・脚本・製作:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀(サワコ先生)、小林香織(ミヅキ)
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