ビーデビル - 2012.05.03 Thu
『キム・ボンナム殺人事件の顛末』という原題の通り
メインの物語はボンナムという女性をヒロインとしたもの。
その前後は、彼女の幼馴染であるヘウォンという女性が中心になっている。
だから最初はヘウォン=ヒロインかと思われたのだけれど
これがさ…イマイチ感情移入できない、ちょい嫌な女なんですわ(^^;)
でも、彼女を配したことで
真の悪とはもしかして…と考えさせられる。
ここに深みがあると思う。
★★★ネタバレあり★★★
出だしはちょっと『スペル』(サム・ライミ監督)に似ている。
女性銀行員が貧しい年配女性の嘆願を規則を盾に断る…というところが。
あちらでは、そのためにヒロインが恨みを買い、その顛末がメインのお話。
こちらは、その問題は同僚が客の要求が叶うよう上手く進めてくれたし
メインの物語はそれとは直接関係ない。
要は、彼女@ヘウォンの人となり。
いわゆる悪人ではない。
親切心とか憐れみがないし、自己保身が強いっていうのかな…
もう一つ、警察で事件の証人となるエピがあるのだけれど
容疑者にすぐ正体がバレてしまうという体たらくで>韓国映画名物“無能な警察”
それで怖くて逃げてしまう、というのは、仕方ないっていうか
少なくとも責められないことだと思うんだけどね(^^;)
でも、銀行での出来事は
彼女が他人のために親身になって何かをしてあげる…ということが出来ない人
というのを示している。
上司に勧められ休みを取ってヘウォンは生まれ故郷の島に帰る。
ここからがメインのお話。
たった9人しか住んでいない小さな島。
後の方の台詞で、嵐で多くの島民が亡くなったらしい。
ヘウォンを歓迎してくれたのは幼馴染のボンナムだけ。
彼女は同じく幼馴染のマンジョンと結婚しヨニという娘もいて一見幸せそうだった。
でも実は皆から虐待されていた。
休む間もなく働かされ、暴力や暴言にも晒され、夫の弟からも性的関係を強要されていた。
後の方になって語られたところによると、昔から島中の男性にレイプされており
ヨニの実の父親は誰だか分からない状態らしい。
それでも必死で耐えていたボンナムだったが
夫が幼い娘を性の対象としていることに気付き、遂に島から逃げることを決意する。
でも、失敗に終わり、酷い暴力を振るわれ、それを止めようとした娘が殺される。
そして、ボンナムは悪魔に化身する。
まあ、ここまで来るとボンナムに感情移入しないではいられないから
その後に続く暴力シーンは、スカッとするとまでは行かないにしろ>残虐だからね
否定的にはなれなかったりする。
だから、ここまでは良かったんだけど
ひとり逃げ出したヘウォンを追いつめて、2人の対決をクライマックスに持ってきたのは
私的には微妙…だったな。
だって、ボンナムがまるきりモンスターになってしまってたから。
ヒロインの座がヘウォンへと戻り、ヘウォンがボンナムをやっつけてメデタシメデタシ…
みたいな、アメリカ映画によくありそうな展開だった。
最後の最後で、読むこともしないまま放っておいたボンナムの手紙を読み
ヘウォンの中に少しばかり変化が生じた様子を見せて終わりにしたのは
纏まりとしては良いと思うけどね。
ボンナム中心の物語は
閉鎖的な社会でのドロドロした人間関係や風習を告発している。
ここだけでも凄い内容になっている。
でも、ここにヘウォンを絡めることで、もっと広く大きな問題が描かれている。
チラリ出てきた子供時代の様子では
ヘウォンは普段はボンナムに優しくしていたけど、いざとなると自分だけ逃げていた。
ヨニが殺された時、ヘウォンは遠目にそれを目撃していたけれど
警察には何も見ていないとシラを切った。
ボンナムの辛い毎日を薄々察していた様子だったのに何も言わなかったし
島を出てソウルへ行きたがるボンナムの願いにもマトモに耳を貸さなかった。
これが彼女の罪。
ボンナムにとってはヘウォンは憧れであり希望であり、もう一人の自分でもあったのだろう。
ヘウォンはそれを裏切った形となった。
暴力をふるう等の直接的な“悪”を行う機会はあまりないかもしれないけど
ヘウォンの様になる可能性は誰でも持っているよね。
そういう意味ではヘウォンが断罪されない終わり方で良かったのかもね。
でも、その分、心に重いものが残った。
『キム・ボンナム殺人事件の顛末/Bedevilled』 2010年/韓国
監督:チャン・チョルス
出演:ソ・ヨンヒ(キム・ボンナム)、チ・ソンウォン(チョン・ヘウォン)
☆楽天もう…何がなんだか日記もヨロシクです☆

☆ドラマ&映画感想は「REVIEWの部屋」に色々置いてあります☆

やっくんち
メインの物語はボンナムという女性をヒロインとしたもの。
その前後は、彼女の幼馴染であるヘウォンという女性が中心になっている。
だから最初はヘウォン=ヒロインかと思われたのだけれど
これがさ…イマイチ感情移入できない、ちょい嫌な女なんですわ(^^;)
でも、彼女を配したことで
真の悪とはもしかして…と考えさせられる。
ここに深みがあると思う。
★★★ネタバレあり★★★
出だしはちょっと『スペル』(サム・ライミ監督)に似ている。
女性銀行員が貧しい年配女性の嘆願を規則を盾に断る…というところが。
あちらでは、そのためにヒロインが恨みを買い、その顛末がメインのお話。
こちらは、その問題は同僚が客の要求が叶うよう上手く進めてくれたし
メインの物語はそれとは直接関係ない。
要は、彼女@ヘウォンの人となり。
いわゆる悪人ではない。
親切心とか憐れみがないし、自己保身が強いっていうのかな…
もう一つ、警察で事件の証人となるエピがあるのだけれど
容疑者にすぐ正体がバレてしまうという体たらくで>韓国映画名物“無能な警察”
それで怖くて逃げてしまう、というのは、仕方ないっていうか
少なくとも責められないことだと思うんだけどね(^^;)
でも、銀行での出来事は
彼女が他人のために親身になって何かをしてあげる…ということが出来ない人
というのを示している。
上司に勧められ休みを取ってヘウォンは生まれ故郷の島に帰る。
ここからがメインのお話。
たった9人しか住んでいない小さな島。
後の方の台詞で、嵐で多くの島民が亡くなったらしい。
ヘウォンを歓迎してくれたのは幼馴染のボンナムだけ。
彼女は同じく幼馴染のマンジョンと結婚しヨニという娘もいて一見幸せそうだった。
でも実は皆から虐待されていた。
休む間もなく働かされ、暴力や暴言にも晒され、夫の弟からも性的関係を強要されていた。
後の方になって語られたところによると、昔から島中の男性にレイプされており
ヨニの実の父親は誰だか分からない状態らしい。
それでも必死で耐えていたボンナムだったが
夫が幼い娘を性の対象としていることに気付き、遂に島から逃げることを決意する。
でも、失敗に終わり、酷い暴力を振るわれ、それを止めようとした娘が殺される。
そして、ボンナムは悪魔に化身する。
まあ、ここまで来るとボンナムに感情移入しないではいられないから
その後に続く暴力シーンは、スカッとするとまでは行かないにしろ>残虐だからね
否定的にはなれなかったりする。
だから、ここまでは良かったんだけど
ひとり逃げ出したヘウォンを追いつめて、2人の対決をクライマックスに持ってきたのは
私的には微妙…だったな。
だって、ボンナムがまるきりモンスターになってしまってたから。
ヒロインの座がヘウォンへと戻り、ヘウォンがボンナムをやっつけてメデタシメデタシ…
みたいな、アメリカ映画によくありそうな展開だった。
最後の最後で、読むこともしないまま放っておいたボンナムの手紙を読み
ヘウォンの中に少しばかり変化が生じた様子を見せて終わりにしたのは
纏まりとしては良いと思うけどね。
ボンナム中心の物語は
閉鎖的な社会でのドロドロした人間関係や風習を告発している。
ここだけでも凄い内容になっている。
でも、ここにヘウォンを絡めることで、もっと広く大きな問題が描かれている。
チラリ出てきた子供時代の様子では
ヘウォンは普段はボンナムに優しくしていたけど、いざとなると自分だけ逃げていた。
ヨニが殺された時、ヘウォンは遠目にそれを目撃していたけれど
警察には何も見ていないとシラを切った。
ボンナムの辛い毎日を薄々察していた様子だったのに何も言わなかったし
島を出てソウルへ行きたがるボンナムの願いにもマトモに耳を貸さなかった。
これが彼女の罪。
ボンナムにとってはヘウォンは憧れであり希望であり、もう一人の自分でもあったのだろう。
ヘウォンはそれを裏切った形となった。
暴力をふるう等の直接的な“悪”を行う機会はあまりないかもしれないけど
ヘウォンの様になる可能性は誰でも持っているよね。
そういう意味ではヘウォンが断罪されない終わり方で良かったのかもね。
でも、その分、心に重いものが残った。
『キム・ボンナム殺人事件の顛末/Bedevilled』 2010年/韓国
監督:チャン・チョルス
出演:ソ・ヨンヒ(キム・ボンナム)、チ・ソンウォン(チョン・ヘウォン)
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