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2019-10

四月の雪 - 2018.10.21 Sun

​​​​​​もう随分と前(年単位)
録画しながら、なかなか観る気にならなかった。

じゃあ何故、録画までしたかというと
韓国映画にハマるきっかけとなった映画の中の一本
『八月のクリスマス』と同じ​ホ・ジノ監督​の作品だから。

それじゃあ何故、すぐに観なかったというと―


☆★☆★☆ネタバレあり★☆★☆★


―好きな季節は?
―春です
―僕は冬が好きです
―私は雪は好きです
―春に雪が降ればいいのに
―そんなことがあるのかしら


男は、妻が
女は、夫が
交通事故で重傷を負ったという知らせを受け病院に駆けつける。
意識不明の2人はW不倫の仲だった。
混乱と苦痛の中、男と女に次第に惹かれ合っていく―

というお話。

いかにもドロドロしてそうだし、それほど新鮮な題材でもないし
好みでもないので観る気力が涌かないでいた。
でも、HDDがイッパイになりそうなので仕方なく(?)観た。

ドロドロ…という感じではなかった。

映像は綺麗だし
台詞に頼らず、人物の表情や動き、置かれたシチュエーションを通して
静かに語る作風は『八月…』に通じる。


男は、コンサートの照明監督を務めるインス。
女は、専業主婦のソヨン。

最初は、お互い腫れ物に触る様な感じ。

そりゃあ気まずいよね。
まだ自分の状況にも実感が涌かないでいるだろうし
問い質したくても、怒りをぶつけたくても、相手は意識がないまま。
色々なことに納得できないまま、看病のため縛り付けられた様な状態。
そして目の前にいる人は自分と同じ立場に置かれ同じ苦しみを抱いている。

同情とか痛々しさとか、多分、同じ状況故の鬱陶しさも
あったかと思う。

少しずつ、慰め合う様になり
瑕を舐め合うかの様な関係になっていく。

でも、その先は
単純に男と女の恋愛に
甘い言い方をするなら、“純粋な”恋人同士の様になっていく。


いや、これはラブストーリーなのだから
​純粋​と受け取って良いのだ。


彼らは一旦、別れるのだけれど
上記の会話のまんまの“奇跡”が起きる。

いや、実際は“奇跡”というほど非現実的な出来事ではないだろうけど
でも、彼らにとっては十分な“奇跡”だった。

彼らの出逢いそのものも
同じ様に、“ありえない”というほどではないけれど
やはり“奇跡”と言いたくなるほどの美しい結末となった
…ってことだと思う。

ここは美しく
爽やかささえ感じたな。

ここに感動してしまいましたですよ(^^)


『八月…』もラストシーンは雪景色だったよね。
あれは、夏とは最も遠いところにあるという意味で
クリスマスをくっ付けたタイトルなのだそうだけど

こちらは四月。

冬と春は地続き。
辿り着けないほど遠い先にあるのではない。
でも、全く違う色合いを持つ。

その異なる2つを雪が繋ぐ。

韓国では恋人と一緒にいる時に初雪が降ると
2人は必ず結ばれる、幸福になる―
という伝説(?)があるそうだけど
こちらはいわば、最後の雪。


「どこに行きましょうか」
最後は姿は映らず
交わす言葉が聞こえるだけ。
(それが敬語なのが良い感じだった)

全ては冬と共に過去になってしまったけれど
心の傷はいつまでも残るのだろう。
花々の上に積もる雪の様に。

でも、目の前に広がるのは全く新しい道。
先に何が待ち受けているのかは分からない。

ただ、新しい人生が始まっていく。



『外出/April Snow』2005年・韓国
監督:ホ・ジノ
脚本:シン・ジュノ,イ・ウォンシク,ソ・ユミン,イ・イル,ホ・ジノ
音楽:チョ・ソンウ
出演:ぺ・ヨンジュン(インス)ソン・イェジン(ソヨン)
   イム・サンヒョ(インスの妻)キム・グァンイル(インスの後輩)
   リュ・スンス(ソヨンの夫)




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ドキュメンタリー 四月の雪


八月のクリスマス


​​​​​​
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トンケの蒼い空 - 2016.09.11 Sun

気になりながらも何故か後回しにし続け
今頃になってようやく観た(笑)
すぐに引き込まれたし、面白かった。

「何が描きたいのか分からずイマイチだった」
という人もいるのだけど
私には爽やかな成長物語として、とても楽しめた。 


☆★☆★ネタバレあり★☆★☆


トンケ(糞犬)とは主人公チョルミンのあだ名。

父親と2人暮しで、昼間は独りぼっちのチョルミンが
近所の人達に食べ物を貰っていたことから名付けられたそうで
皮肉っぽいなと最初は思ったけれど
実は韓国では幼い子供達を愛をこめてこの名で呼ぶことがあるらしい。
駄犬の様に丈夫に育ってほしいという気持ちか込められているとか。


トンケは生まれて間もなく母親を亡くし
代わりに育ててくれた祖母も彼が4歳くらいの時に亡くなってしまう。
映画は、祖母のお葬式から始まる。

はしゃいだり食べ物に夢中になったりしている彼の姿は
まだ幼過ぎて死の意味が分からない…ということと共に
愛し愛されるということも、まだ分かっていないことを表していると思う。

頭も少々弱い様子の彼は、まさに野良犬の様。


そんな彼が雑種犬を飼うことになる。
自分と同じくトンケと名付け、それからは何処に行くにも一緒
学校にまで連れて行ってしまう。

ここで彼は兄弟の様に、あるいは自分自身の様に愛する対象を得た
…ってことなんだと思う。



高校生になったトンケは、勉強もスポーツもイマイチな様子。
友だちもいないみたいだし…っていうか
人とコミュニケーションを取るということ自体が上手くない。

そして、ある日
冷酷な形で犬のトンケを失ってしまう。

犬が登場した時点で悪い予感がしてたの。
もう、観るの中断しようか…とさえ思っちゃったの。
でもさ
“物語”としては必要な展開ではあるよね。

トンケが「糞犬」→「人間」に成長するためには
自分の分身の様に愛していた犬のトンケとの別れが
どうしても必要だったのだと思う。



ただ、犬のトンケを手に掛けたジンムクが何のお咎めもなし…
のままなのはムカムカした。

取り撒きの2人はボコボコにしたけど
ジンムクには手を触れる前に邪魔が入ってしまったから余計に。

でも、数年後にジンムクはちゃんとトンケの前に再登場する。
トンケが乗り越えるべき壁として。


高校を中退し、就職もせず
何の目的もなく、大した楽しみも持たず
ニートとして数年暮らしてきたトンケに3つの出逢いがある。

一つ目はMJKの連中
二つ目はジョンエ
三つ目はジンムク。


一つ目のMJKは密陽(ミリャン)ジュニア・クラブの略。

密陽は舞台となっている街の名で
トンケと同じ様に学校を途中で辞めた地元の若者達の集まり。

最初は喧嘩を吹っ掛けてきたので嫌な連中なのかと思ったら
要は仲間が欲しかったみたいで
トンケはそれを察したわけではないのだろうけど、彼らにまず食事を振る舞う。

まさにフード理論。

トンケに初めて人間の友達が出来る。
しかも、チンピラに見えて実は真面目に働いている彼らに感化されて
トンケも就職するまでになる。


まあ、風俗店に誘われるという、女性視点では「おいおい」なエピもあるんだけど
ここでトンケは恋愛経験(性経験)もないということが分かるし
そういう面だけ貪欲なヤツではないってことも分かる>未遂に終わるし


二つ目はジョンエ。

スリの常習犯で、身寄りがないことから
トンケの父親が引き取ることにした女性。

年頃の息子がいるのに、それってあり?
と最初は思ったけど、コレって、ある意味
犬のトンケの時と同じ様な経緯だよね。
そこが面白い。

コミュ障のトンケだから彼女とすぐにどうとか…なんてことにはならない。
ほんの少しずつ打ち解けていく…って感じ。

その取っ掛かりが彼女が淹れたコーヒーってところも
フード理論と言えるかも。

彼女はちゃんと将来の夢を持っていて
そのために少しずつ努力しているので
好感が持てる。

トンケが風俗店の火事でテンテコマイになった時
ちょっと嫉妬心を見せるところも微笑ましい。


三つ目のジンムクとは最終的な対決となる。

MJKの友達が巻き込まれ
犯罪が絡んでいるため警察官であるトンケの父親も関わり
大きな騒動になるけれど
最後はトンケとジンムクの一対一の戦いになる。


そこに至るまでに
父親との葛藤もあるし
母親の思い出も新たなものとなるし
色んなものを色んな意味でトンケはクリアしていく。

そして最後に
彼にとって一番大きな壁だったものを打ち破る。


ジンムクが女物のショーツで
トンケが大き目のブリーフってのも
何か象徴的(笑)


まあ、トンケの場合はアクション中に見えちゃわない様に
という意味もあるだろうけど>ぉ


こうして
頭が弱くて親の愛を知らなくてコミュ障でニートで孤独だったトンケが
一皮剥けたっていうか
立派に成長したと言えると思う。

トンケ自身は多分何も気付いていないけど。

明日から何かが劇的に変わる
…ということはないだろうけど

何か飄々とした終わり方ではあったのだけど
ホンワカとした希望の様なものが感じられた。

凄く爽やかで温かい気持ちになれた。




『糞犬/Mutt Boy』2003年/韓国
監督:カク・キョンテク
脚本:カク・キョンテク、キム・チャンウ
音楽:ユン・ミンファ
出演:チョン・ウソン(チョルミン/トンケ)
キム・ガプス(イックン/トンケの父)オム・ジウォン(ジョンエ)
キム・テウク(ジンムク)イ・サンフン(テットク/MJK会長)
ソン・サンギョン(ユングン/シルム男)イ・テジュン(スェパリ/カンフー男)
ホン・ジヨン(スンジャ)





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メビウス - 2016.03.06 Sun

「全ての人間は結局、欲望により生まれたので
結局、家族は全て一つで
全ての人物が一つの構造中で動く<メビウスの輪>の様に
循環構造を有している」
(キム・ギドク監督談)


☆★☆★☆ネタバレあり★☆★☆★☆


表も裏もなく、切り離すこともできなメビウスの輪。

ウィンドウの向こうに飾られた仏像にひれ伏す謎の男性。
彼が、この家族の裏と表を繋いでいる?


主役は台詞なし、というのはギドク作品には付き物だけど
今作は登場人物全員が台詞なし

でも、サイレント映画というわけではなく
物音や呻き声(言葉にならない声)は聞こえる。

そういうのって普通は結構、頭を使う。
登場人物の表情や動きから意味を掴もうと普通以上に集中しなければならない
…ものだと思ってたけど

この作品は物凄く雄弁だ。

あ、そういえば台詞がないんだっけ
と、終わってから思ったくらい(笑)
全く普通に鑑賞。


夫の不倫に疲れ果て心を病んだ妻が
夫の性器を切り落とそうとするも失敗し
何と、息子の性器を切断してしまうという
痛いお話。

ギドク作品はいつも、どこか痛いんだけど
これはもう本当に痛い。
女の私でもそう感じるのだから
男性にはとても正視できないかも(^^;)


で、面白いのはその後。

傷が癒える過程とか
母親へのトラウマとか
原因を作った父親との確執とか
色々と現実的な話が続くかと思ったら

父親が息子のために必死で探したのは
性器なしに性的快感を得られる方法だった。

でもって、それを息子も受け入れる。

その方法は
石の様な堅いもので皮膚を擦りむけるまで擦ることと
ナイフで身体を刺した上にグリグリと動かすこと。

痛い…これまた痛い(^^;)

興味深いのは
特に後者は女性的な感覚じゃないのかな…ってこと。


途中、性器がないことを知って息子をイジメる同級生達を
通りがかったチンピラ達が助けてくれるシーンがある。
でもその後、そのチンピラ達は父親の愛人だった女性をレイプする。

間接的に息子の復讐をしてくれたという意味かな、と一瞬思ったけど
もしかしたら、彼女にとっての贖罪という意味を持たせているのかなとも思うけど
主な理由は、単純に彼女が色っぽくて魅力的な女性だったから。

このエピからして
性欲→女性を征服すること→それを果たす性器
ということで
男性にとって、まさに性器こそがアイデンティティ!
なんだなってことがよく分かって
哀れでもあり滑稽でもあり…って感じたわけなんだけど

その性器を失った時
性欲の向かう方向は同じなんだけど
快感を得る方法は寧ろ女性のそれに近くなる…ってのが
何だか面白いなと思った。


ついでに言うと
母親と愛人は同じ女優(イ・ウヌ)が演じているのだが
ボンクラひじゅには気付かなかった。
髪型や化粧や服装で女は化けるっちゅーことですな。

ところが
双方が別々にだけど、胸を露わにするシーンがあって
乳房の形で同じ人だと分かった。

男も女も
性的な部分にこそアイディンティティがあるっちゅーことでせうか?
何だか虚しくなるなあ…(^^;)



その後、父親が手術で切除した性器を息子が移植し
形だけは“男性”に戻るものの
今度は性的興奮を得られない…という事態に陥る。

そんな時、フラリと帰って来た母親に
その性器は反応する。

元は父親の性器だってところが面白いよね。
愛人には反応せず、母親にだけ…ってとこが。

でも、父親自身にはもはや性器はなく
息子に向かう母親に、今度は父親が嫉妬の塊になる。

がいつの間にかになっている。

ああ、もう、本当に
グチャグチャやねん…痛いねん。


でも、ラストの息子の笑顔は
この輪が断ち切れたってことを意味するんじゃないのかなあ…

まさにギドク風贖罪って感じで。

それともまだまだ
輪廻の如く続いていくのだろうか?




『Moebius』 2013年/韓国
監督・脚本・撮影:キム・ギドク
出演:
チョ・ジェヒョン(父)、ソ・ヨンジュ(息子)
イ・ウヌ(母/愛人)、キム・ジェホン(不良リーダー)





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↓これを観てキム・ギドクを愛しいと思ってしまった私って変?


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怪しい彼女 - 2015.06.07 Sun

70歳のおばあさんがが20歳の娘に若返ってしまう話―

設定としては特に目新しいものではないと思うけれど
とにかく主演のシム・ウンギョン(若返った姿を演じる)が可愛いから許す>ぉ


★☆★☆★☆ネタバレあり☆★☆★☆★


オードリー・ヘップバーンのポスターが飾られた写真館で
オードリー・ヘップバーンの話をした後で写真を撮ると
何故か若返っていたヒロイン@マルスン。

オードリー・ヘップバーンみたいな髪型と服装で
オ・ドゥリと名乗った彼女の新しい人生が始まる。


何が可愛いって
姿形は若くなっても中身は同じままなので
動きも表情も口調も話題も感覚も全てが“おばあさん”なところ。

いや、おばあさんといっても、まだまだ元気だから
日本の感覚では“おばちゃん”とか“おばはん”という感じ?

そんなオ・ドゥリが何故かめちゃくちゃ可愛い。


でもって、そんな彼女のキャラには
彼女の山あり谷ありの過去が上手く行かされていると思う。

かつては美しいお嬢様で、幸福な若妻で、やがて貧しい寡婦となって
惨めな生活も、他人に恨みを買う行為も経験してきて…
その良い点と悪い点の混合が彼女を形成しているのが分かる。

だから、若返るまでの追い詰められ方も
哀れにも思えるし自業自得にも思えてしまう(^^;)


そんな清濁併せ持った彼女の前に突然開かれた新しい人生は
ひたすら明るくて前向きで輝かしい。

清濁併せ持つってのは、つまり、非常に人間的と言えることで
同じ人間である観客は
彼女に同化して新しい人生を今度こそ美しく幸福に行きたいと願う
…んじゃないかな。


作中には色々な歌が登場する。

ほとんどが、いわゆる懐メロみたいなんだけど
韓国の懐メロなので、そこのところの楽しみ方ができないのは残念。

シム・ウンギョン自身が歌っているらしい。
上手いかどうかはよく分からないけれども>ぇ
声が綺麗で自然に引き込まれる。

そんな歌声でトントン拍子にスター街道に向かっていく様子は爽快。


そして淡い恋もする。
そこはちょっと切ない。



そのまま新しい人生を生き続けるか元に戻るか…
選択を迫られることになる終盤の展開は、まあ予想がつくんだけど
そこで彼女の息子が関わってくるところが、なかなか感動的だった。

親としては何を犠牲にしてでも子供を助けたいと思うだろう。

そのために彼女の前で土下座して頼み込んだりしても
それは寧ろ自然な行為と周囲は受け取るだろう。

でもそれは親である自分の犠牲ではなくて
自分の母親である彼女、自分のために犠牲になってきた彼女に
再び犠牲を強いること。

息子はちゃんとそれを理解していて
自分の子供は自分が何とかする、と宣言する。
ここは、なかなか良かったな。


最後の彼女の決断は、彼女を崇高なものとしている。

思わぬ挫折というものではなく
このために今回の不思議な経験があったのだ…という気もしてくる。

…いや、そんな教訓的な物語ではないのだけどね。
つーか、意味などあってはいけないのだと思うのだけどね。



ラストのラストは思わぬ人が若返って
前に出てきたシーンと真逆のシーンになるのが面白い。
傍に立っていた若い女の子達の反応もしっかり入れているし。

色々なことが上手い具合に収まった後なので
明るい気持ちで終わる。


でも、やっぱり、切なさが残る。



『怪しい彼女/Miss Granny』 2013年/韓国
監督&脚色:ファン・ドンヒョク
脚本:シン・ドンイク、ホン・ユンジョン、トン・ヒソン
音楽:モグ
出演:ナ・ムニ(オ・マルスン)、シム・ウンギョン(オ・ドゥリ)
   パク・イナン(パク氏)、チニョン(ジハ)





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この映画のシム・ウンギョンも可愛い>『サニー』


悪魔は誰だ - 2015.05.31 Sun

多分、同意見の人が多いんじゃないかと思うんだけど
この邦題はイマイチだよね。

『悪魔を見た』を連想しちゃうから。
つーか、実際それを目論んで付けたんだろうと思うけど
だいぶ傾向が違う作品なので。

復讐という意味では共通しているけど。
いや、復讐というより
罪を自覚させ、正当な罪の報いを受けさせる
と言った方が合っていると思う。


原題は『モンタージュ』。
所々で犯人のモンタージュが映る上に
終盤でオ刑事@キム・サンギョンが
犯人を前に、そのモンタージュについてポツリ言う
その一言が面白い。



15年前に起きた幼女誘拐殺人事件が時効を迎えるところから始まる。

担当刑事はオ刑事。
前半と後半で組む相棒が異なる。
厳密には後半は他部署に協力を要請される形なんだけどね。
この前半の相棒刑事がマヌケっぽくて良かった(笑)

最初、カセットテープの扱い方はイラッとさせられるんだけど
(このカセットが終盤になって意味を持ってくる)
道路で通りすがりの車に文句を言われ走って追いかけるところは
笑ってしまった。

それがあるので、後半
協力し合った相手がオ刑事が手柄を盗る気かと怒ったり
上司がさんざん罵倒するシーンとの差の激しさに
マジ引いたもの(^^;)


時系列がちょい分かり難かったり
警察よりもヒロインの方が有能に見えてオイオイってなったりしたのは
ボンクラひじゅにのせいでせう。

ま、警察こそがボンクラなのも韓国映画“お約束”(笑)


『悪魔を見た』みたいに猟奇的な事件ではないし
復讐といっても身体的危害を与えるわけでもなく
あくまでもミステリー系。

ちゃんと、どんでん返しになっているし。


感心したのは2点。

1:被害者の心理と加害者の心理は紙一重
2:オ刑事の決断



1は、被害者であるユン・ハギュン@オム・ジョンファの
悲しみ、喪失感、そして憎しみ等をクローズアップするだけでなく
加害者も同じ様に家族に関する苦悩を抱えていることを描く。

といっても、同情すべき点として掲げているのではなく
寧ろ身勝手さを強調していたと思う。

独身であるオ刑事に
「あなたは結婚しているのか?子供を育てた経験があるのか?」
と問い詰めるとことなんて、リアルだし恐いと思った。


現実世界でも、第三者的に見てオカシイと思えることでも
子供に関する出来事だったりすると
オカシイと感じるのは子育て経験ないからで
酷い時には独身者の嫉妬だと、逆に詰られて終わったりすることあるじゃん。

それを思い出しちゃったよ。

ましてや映画内での出来事は、それだけで見るなら
同情すべきことだしね。

でさ
私の中にも一種の理想もしくは偏見(?)として
子供に対する親の愛というのはとてつもなく強く
それ故に狭い…というイメージがあるので

この加害者が他人を(ある意味、自分と同じ)不幸に追い込んででも
自分の子供を助けたい!という気持ちになったことは
責められないっちゅーか、さもありなんって気がしてしまう。

してしまうけど勿論
(ある意味)身代わりにされる被害者側は堪ったもんじゃないんだけどね。

だから
被害者側の気持ちを思い、涙まで流すオ刑事に対し
独身者の彼には時分の親心は分からないと決めつける加害者の姿は
ちょっとゾッとするものがあった。

最終的には加害者としての罪悪感とかではなく
あくまでも被害者としての気持ちから結末が付いたのも
皮肉だし、面白味があると思う。



2は「やったね」って感じ?

ここで右京さん@『相棒』みたいに
正義を押し通すってのも良いんだけど
どちらかというとポアロ@『オリエント急行殺人事件』的な
決断を下すところは、やはりスッとする。

ポアロの場合とはちょっと違うか(笑)
もっと能動的と言えるかも。


どーでもいいツッコミとしては

じーさん、体力あり過ぎ!

ってところでせうか(笑)


最後は(最後まで)
復讐を果たしても何をしても
失われた子供は戻ってこないし
母親の喪失感がなあくなることもない―
というのが言葉でなく示されて
良いラストだったと思う。



『モンタージュ』 2012年/韓国
監督&脚本:チョン・グンソプ
出演:オム・ジョンファ(ユン・ハギュン)キム・サンギョン(オ・チョンホ)ソン・ヨンチャン(ハン・チョル)





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「韓国が描いた“10”の闇」という特集で今作も取り上げられているらしい


悪魔を見た


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