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2021-04

あなたになら言える秘密のこと - 2012.10.21 Sun

多分、日本でこの映画を観た人の半数以上が思ったであろう

この邦題はちょっと雰囲気違い過ぎね!?

ということを私も呟いておきます(笑)


★★★ネタバレあり★★★


最初の方と最後に女の子の声でナレーションが入る。

最初は「え?何?」って感じで
最後で「ああ、そうだったのか…」となるのは

ヒロインのハンナの最初の状態、少しずつ変わっていく様子、ようやく語る過去
そして名前を言った時に「ああ、そうだったのか…」となるのと同じ。


工場で働くハンナ
お弁当は、ご飯とチキンと林檎
誰とも話さず、誰とも目を合わさず
仕事が終われば補聴器のスイッチを消し外界の音からも離れて

帰るのはガランとした部屋
洗面所には石鹸の山
ガランとした冷蔵庫
夕食は、ご飯とチキンと林檎
暇な時は刺繍をして

独りぼっちのまま眠るだけ―


真面目過ぎる仕事ぶりと皆と全く交流をしないハンナは
上司から強制的に休暇を取らされ旅行に出かける。

仕事の時と同じ様に淡々と支度をし無表情のまま出掛け
バスの中では刺繍。
それが単なる時間潰しであることを示す様に
目的地に降り立てばゴミ箱に捨ててオシマイ。

後ろの座席に座っていた見知らぬ年配女性は2人連れで
他愛ないお喋りをしてお菓子を食べて目的地に到着すれば「良い所ね」と喜んで
ハンナが“普通”でないことを際立たせている。

ホテルに着けば綺麗に整えられているベッドを
耐えられないものでも見たかの様にグチャグチャにするハンナ。


彼女の“秘密”を知った後で思い出すと、これらの行為の理由が察せられる。
生きていることを喜べない
人生を楽しんではいけない
外の世界に出て行きたいとは思えない
何かをしていなければ自分の思いに耐えられない
ベッドは…きっとベッドは直接的な苦痛の記憶…

「暇に潰される前に暇を潰そう」
そんなハンナが休暇を別の仕事で埋めようと考えたのは無理からぬこと。
油田掘削所で事故があり看護師を必要としていることを知ったのは全くの偶然だけど
そのくらいの奇跡があって良い。

掘削所には少数の人しか残っていないけれど
それでも人と接しなければならない>少人数だからこそ濃密になる部分もある
それは彼女には計算内だったのか計算外だったのか分からないけど
意外にも早く彼女に変化が生じ始める。


ご飯とチキンと林檎にはどういう意味があるのか、よく分からなかった。
質素であり、あまり豪勢な印象はないので、そのためなのか?
“あの状況下”にあった時に食べていたものなのか?

白米が主食の日本ではよく
「パンじゃ力が出ない」なんて言葉を聞くことがある(笑)
それと同じでパンを主食とする人々にとっては
「野菜である米ばかり食べるなんてストイック」てなもんかな?

そのせいか、最初に見られた変化は
ジョセフが残したニョッキや牛肉やアイスクリームを貪ること。


淡々と進む
説明的なことが、ほとんどない映画。

すぐには乗れなくて、ちょっと困ったりもしたけど
ナレーションに感じる何か
ハンナと患者ジョセフがそれぞれ抱える“秘密”
それらが気になるのと

静かで寂しくて
でも、どこかユーモラスでもある掘削所のアレコレ
ちょっと耳触りな音
アヒルのリサの煩いけど可愛い鳴声に
惹かれて観続けた。


掘削所にいる人々が話すことは、それぞれの事情だの事故のことだので
それぞれのキャラや抱える人生が短いシーンで浮彫になって深みを感じさせる。
それと共にミステリーの様にジョセフの事情を示唆するものともなっている。

ゲイ・カップルにはどちらにも妻子がいる
妻子を愛していても思いがけない事態に陥ることはある
…ジョセフは親友の妻を愛してしまった。

「真実を知らせることに何の意味がある」
事故で死んだ同僚は実は自殺だった
でも事故と届け出ることで残された妻子にはお金が支給される
…ジョセフは真実を告げたことにより親友を死なせてしまった

等々

波の調査をしている海洋学者は独自に貝の調査をし
海の汚染を改善したいと考えている。

そんな風に“明日”を見つめている彼をハンナは羨ましいと言う。

ハンナもジョセフも辛い過去により悲しみや罪悪感が心に広がり
明日を失ってしまった気がしている。



泳げないこと
静寂
言葉

それらが積み重なって
ハンナとジョセフの心に奇跡が起きる。


私的にはサイモンが素敵だと思ったし
彼と一緒にハンナがブランコに乗っているシーンも美しかったので
何故、「あなた」はジョセフなんだろう…という気もしないでもなかったけど>ぉ

まあ、ナイチンゲール症候群なる言葉もあるし>身も蓋もない?
ジョセフが話した看護師と15歳の少年の物語が示唆してもいるし
何より一番長く&深く触れ合ったわけだし
ジョセフが使っていた部屋を割り当てられ
ジョセフ宛の留守電メッセージをハンナは繰り返し繰り返し聞いていたし
必然っちゃ必然だね。


それにしても、ハンナの“秘密”は凄まじいものだった。
ジョセフのそれも胸痛むものではあったけど、霞んでしまいそうになるくらい…

一人称で語れないところがまた傷の深さを表している。
友人というのは明らかに自分自身のことだよね…
子供を殺すよう強制された母親も…

ジョセフはちゃんと分かってくれた。
ヘリで運ばれる時、ハンナの名を何度も叫んだことが証明している。

彼が火傷のため一時的に目が見えない設定なのも
冗談めかしながらもハンナが金髪なのを見抜いたのも
彼がハンナの本質を理解してくれる人なんだという事を示していると思う。

決して、傷を舐め合う…なんて関係じゃない。


「僕は泳ぎを練習する」
ジョセフの言葉に涙が溢れた。


台詞でのみ語るというのは演技力や演出力や色々必要で
それなしでは単なる説明に過ぎず映画としてどーよ?
となりそうなところ
これは揃っているから映像よりも却って説得力あり。

内容も衝撃的だけれど
その時のハンナや他の女性達の心情を重く深く感じられた。

勿論、甘ちゃんの私には全部はとても理解しきれないけれど。


ナレーションの子供は去って行った。
ハンナはやっと幸福になれたってことだろう。

ここはファンタジーと言って良いのかもしれない。
救いが得られないままの人の方が多いのが現実だろう。

その“現実”を全く知らないまま
聞き齧っただけでよく知ろうともしないまま
簡単に忘れ果てる私の様な人間の方が多いのもまた現実なのだ。

そこを鋭く突く映画だった。




『The Secret Life of Words』 2005年/スペイン
監督/脚本:イザベル・コイシュ
出演:サラ・ポーリー(ハンナ)、ティム・ロビンス(ジョゼフ)
ジュリー・クリスティ(インゲ)、ハビエル・カマラ(サイモン)





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アナザープラネット - 2012.08.05 Sun

“もう一つの地球”が空に現れた時
それに見とれたローダは交通事故を起こし幸福だった一家族を破壊する。

低予算、アイディア勝負のインディペンデント映画。

台詞は少なく、ドキュメンタリーっぽいタッチで、アートっぽい雰囲気の作品。
本来そういうのって苦手な方なんだけど、何故かグイグイ惹きつけられ
最後まで面白く観ることができた。

でも、ラスト・シーンは謎(^^;)

つーか、色々な解釈ができる。
ハッピーエンドからバッドエンドまで、それこそ180度の幅。

こーいうのも基本的に好みではないんだけど
気付くと色々考えを巡らしている自分がいた(笑)

なので、このラストについて
アレコレ書いてみマス。


★★★ネタバレあり★★★


ローダは被害者家族の唯一の生き残り@ジョンを訪ねるも
本当のことを言えず清掃サービスだと偽る。

実際に清掃の仕事をしていたので咄嗟に出てしまうのは自然だし
それでジョンとの付き合いが始まってドラマが動き出すわけだけど
それだけでなく、
混乱し汚物が溜まり汚れた部屋を整理し綺麗にするという行為が
まんま心を表しているのだろう。
並行して少しずつ少しずつジョンは人間らしさを取り戻して行く。

2人が男女の仲になるのは、まあ当然の帰結ってヤツ。
でも、ローダの方は自分を隠しているわけだから、この土台は脆い。

ましてや、ローダ自身の救いには結び付かない。


“もう一つの地球”へ行く権利を得たローダを引きとめるジョンは
その時点では新たな人生を歩もうとの決意が生まれていたのだろう。

ようやく本当のことを話すローダだけど、ここでまだ黙っていたら酷過ぎるよね?
それを知っても尚、自分を引きとめてくれるなら…と前置きするところは
彼女の中にまだ甘えがあるということだよね?

で、結局のところ、彼女の甘えは地に叩きつけられてしまう。


“もう一つの地球”は、この地球のコピーだと思われていた。
だから、そこに行くことを望んだローダが“もう一人の自分”に
今の自分と違う状況を夢見たとは考え難い。

そこには、全く同じ苦悩の中にいる自分がいるだけ…のはず。

ただ、自分を外側から眺める…ということは出来るかもしれない。
自分自身と向き合い、自分の罪と向き合って、
これからの人生の歩み方を模索することができるかもしれない…
と考えたのかな?


でも、お互いの存在を認め合ったことで同調が崩れ
それぞれの地球はそれぞれの状況で動き始めたのでは…
という説を聞き、ローダはジョンにチケットを譲る。

“もう一つの地球”が目に見える様になったのは、ちょうど事故が起きた4年前だから
もしかしたら向こうでは何事もなかったかもしれない。
ジョンの家族は健在かもしれない。
ローダはその4年間を刑務所ではなく無事に大学で過ごせたのかもしれない。

それは救いになるのか?

向こうでのジョンの家族は昔のまま幸福に暮らしているのだとしても
そこには当然“もう一人のジョン”もいるわけだから、
こちらのジョンが家族を取り戻すことにはならない。

それでも、永遠に失われてしまったと思われた家族のその後の人生が
空の向こうでは続いている―
自分の傍からは消えてしまったけれど、向こうでは元気で生きている―
そう知っただけでも心は少し緩むかもしれないね。

そうして、今の自分を受け入れることができたジョンは
今度こそ新しい人生を歩んで行こうとの決意が固まるかも?


勿論、“もう一つの地球”でも事故は起きていて
ジョンは現在の自分と全く同じ状況にある自分を見出すだけかもしれない。

まあ、その場合は、先にローダが考えていた(かもしれない)様に
自分自身を外側から見つめる、という行為に繋がるかもしれず
それは、そのまま救いに繋がるかもしれないから
全くのバッドエンドとは言えないかな…という気もする。


でもなあ、やはり状況は違っていると思うな。
でないと、ローダの行動も“もう一つの地球”の存在も意味を成さなくなっちゃうじゃん。

やはり何かの“罪”を背負っているらしいジェフリーは自ら目を潰し耳を潰して
闇の中に自分を閉じ込めてしまう。
凄く冷たい言い方をすれば、逃げているってことだよね?
ローダが彼の掌に書いたのは「FORGIVE(許しなさい)」。

このエピが生きるためには、ローダも自分自身を許せる様にならなければ…


そしてラスト、ローダは“もう一人の自分”に逢う。

こちらのローダはチケットを譲ってしまったわけだから
向こうのローダがやって来たってことは既に2つの地球が同調していない証拠。
だから、ローダもジョンも変わらない状況にあるとしたら何のための今迄の物語か…
ってことになっちゃうよね?

“もう一人のローダ”が無事に大学@MITを卒業したなら
作文云々に関係なく宇宙飛行ができたと考えられるし。

で、不幸に遭わず、順風満帆に生きてきた“もう一人の自分”に逢っても
それ=救い にはならないと思う。

ちょっと気持ちが晴れる部分はあるかもしれないけど
人生を取り換えることはできないのだから。

だから、“もう一つの地球”=事故は起きなかった地球であっても
まんま救いにはならない。
完全なるハッピーエンドにはならないと思う。

やはり事故は起きていた…という結果=バッドエンドではなく
もしかしたら、何事もなかった…という結果の方が残酷だったりして?



でも、それでも、自分と向き合うということは出来るはず。
結局のところ状況は何も変わらないし罪は拭えないけれど
だからこそ、それらを認めた上で幸福を見出すという方向に進んで行けるはず。

そういう意味でのハッピーエンドだよね、きっと。

であるならば、“もう一つの地球”でも状況がどうであっても
大して関係ないのかもね。
単にローダの妄想と取っても良いかもしれないし
映画的嘘っちゅーか象徴的表現だと見なしても良いのかも。
なのでラストシーンでは空に何も見えなかったのかも…

でも私は小心者だから(?)
やはり“もう一つの地球”では不幸な出来事はなかったのだと思いたい。

どちらにしても、ハッピーエンドであると信じたい。



『ANOTHER EARTH』 2011年/アメリカ
監督/撮影/編集:マイケル・ケイヒル
脚本:マイケル・ケイヒル、ブリット・マーリング
出演:ブリット・マーリング(ローダ)




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ラビリンス/魔王の迷宮 - 2012.07.17 Tue

『ラブリーボーン』BDをレンタルしてきたはずなのに
家で再生したら何と『ラビリンス』!

ディスクが間違えて入れられたのかと思って確かめたら
ケースの表示も『ラビリンス』!

これはどーいうことだとレシートを確認したら
やっぱり『ラビリンス』!

…私がそそっかしいっちゅーことですねそうですね(^^;)


↑ちょっとショックだったので書き記しておく(笑)


ちなみに『ラビリンス』は昔観た。
今でも結構、好きな映画の上位に入る。

弟を救うためにファンタジー世界に入り込んだ少女の物語。
まあ、よくある設定だし
冒険をメタファーにしての“成長物語”ってのも、よくあるものだけど

それでも、とりわけこの作品が気に入った理由の一つは
成長を終えたことによりファンタジー世界に決別するわけではないところ。

成長っていう程、凄く成長したわけでもないので>少し意識は変わったけど
まだ発展途上、まだイマジナリ―・フレンドの存在は必要…ってところかな。

いや、やっぱり
ファンタジー世界は実在していて
住む世界を超えた友情は続いていく…ってことかな。

ともかくね、無理な“別れ”がないところが好き。


ジェニファー・コネリーは美しく、
デヴィッド・ボウイは麗しい!

キャラの一人ホグル(ゴブリン)は鶴太郎に似ているぞ>ぇ



『Labyrinth』 1989年/アメリカ
監督:ジム・ヘンソン
脚本:テリー・ジョーンズ
製作総指揮:ジョージ・ルーカス
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
主題歌:デヴィッド・ボウイ





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エンジェルウォーズ - 2011.12.31 Sat

現実・妄想・さらに妄想…と三段重ねの世界。
その多重構造ぶりが『インセプション』を

過酷な現実世界にあって妄想の世界に逃げ込む少女。
という繊細な設定が『パンズラビリンス』を

連想させる映画です。
私はそれに加えて『ローズ・イン・タイドランド』も思い出しました。

ザック・スナイダーが初めて手掛けるオリジナル作品です。


☆☆☆ネタバレあり☆☆☆


最初に言ってしまうとですね
一応の売りはアクション・シーンだと思うのですが
そこがネックになってもいる、ちょい微妙な作りです。

いや、映像は凄く良いと思います。
最初は萌えました(笑)

戦闘時のコスチュームは最高です。

ヒロインのベイビードールは
金髪のツインテール
セーラー服に日本刀
ミニスカに二―ハイソックス
…と、モロに日本の萌えアニメの萌え要素を取り入れていますし

他メンバーもそれぞれカッコイイです。
スナイダーのオタク魂炸裂って感じです。

でも、パターン化してしまっているので、だんだん飽きてきちゃうんです。
スミマセンスミマセン。



ストレートなアクション・ファンタジー映画にしても良いところを
少女の悲しい妄想物語にしたのと
“主人公”と守護天使というテーマを持たせたのが
私的にはツボでした。

上記したように飽きてしまって
所々で寝てしまったりもしたのだけど(笑)
それでも心に残った、どうしても捨てられない映画となりました。


ベイビードールが継父の策略により精神病院に強制入院させられるところから
物語は始まります。
妄想世界も、そこから始まります。

妄想の一層目では、精神病院は売春宿に姿を変えています。

客を惹きつけるために彼女達はショーを行うのですが
それは現実世界における、自分の経験を芝居にして自分自身が演じる
という精神病院の療法が影響しているのでしょう。

で、ベイビードールはダンスをするのですが、ダンスそのものは画面に出てきません。
その目的からいって非常にセクシーなダンスであることが想像できます。

で、そのダンスは二層目の、アクション・ファンタジーの世界へと彼女を導きます。
この構造からいって妄想の元となる現実は性的虐待なのだと理解できます。

そもそも最初のシーンで、
継父がネクタイを緩めたり
ベイビードールの服のボタンが弾け飛ぶところが強調されたりして
性的虐待を匂わせています。

継父が彼女を精神病院に入れる際、書類に「20歳」と記入するのも意味深です。
20歳過ぎている様に見えないし
アクション・シーンのコスチュームにしても、そもそも「萌え」対象としても
「少女」であることが重要だと思えるから。

性奴隷の状況から何とか逃げ出そうと少女達がもがくのが
華麗な戦いに身を投じる自分達の妄想…というのが悲しいです。


少女“達”と書いたけれど
スイートピー以外は実在していない気がしますし。

スイートピーの妹であるロケットが死んでしまうのは
ベイビードールの妹の象徴でしょうし。

スイートピー自身だって、姉であるベイビードール自身を勝手に重ねているだけで
妄想世界で(一層目でも二層目でも)友情で結ばれるスイートピーとは
全く別人とも思われます。


ベイビードールは“主人公”ではなかった―
という結末が面白いです。

最初に守護天使とは老人の姿をしている場合も少女の姿をしている場合もある
というナレーションが入るところでラストはある程度想像できるんですけどね。
「老人」も登場するし。

だからラストに至った時
ああ、そうか…と納得する部分と
そうだったのか…と少し驚く部分とがあって
ちょっと感動してしまいました。



『Sucker Punch』 2011年/アメリカ
監督:ザック・スナイダー
出演:エミリー・ブラウニング(ベイビードール)、アビー・コーニッシュ(スイートピー)
   スコット・グレン(ワイズマン/賢者/バスの運転手)






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つぐない - 2011.11.27 Sun

ベネディクト・カンバーバッチ目当てで観た(笑)


ネタバレあり☆


13歳の女の子がついた嘘が
彼女の姉と、その恋人を引き裂き
2人が若くして亡くなる遠因にもなってしまう
…という、やりきれない物語。

ベネディクトの役はその元となる事件を引き起こすポール・マーシャル。
いやん、ベニーったら>ぇ


その13歳の少女@ブライオニーを演じるシアーシャ・ローナンが素晴らしい。
今にも壊れそうな繊細で透明感ある佇まいで、でも意外と芯はシタタカそうで。
まさにブライオニーを生きていると思う。
とにかく可愛い。実に可愛い。  ←アブナイ

彼女が一心にタイプライターを叩いているところから始まり
そのタイプの音が音楽に溶け込んでいくところが良い。

ブライオニーは作家志望で
後に夢を叶えた彼女が最後の作品として仕上げたのが
この自分自身の体験を元にした物語である…という構造になっている。

嘘をつくに至る13歳の頃―
罪悪感を抱えて生きる18歳の頃―
この最後の作品についてインタビューを受ける老年―
と、大きく分けて3部から成っている。


13歳の頃―
ブライオニーの一番の読者であり批評家であるのは使用人のロビーで
ここで既に彼女の初恋が淡い形で始まっているのが分かる。

窓の外、噴水の傍で姉セシリアとロビーの姿を目撃したのが全ての発端となる。
勿論、“事件”はこの後、別の人により別の形で起きるわけなのだけど
ブライオニーの心の中では、この時に始まったと言って良いと思う。
ていうか、“事件”は道具に過ぎなくて、問題は彼女の心の中にある。

セシリアはロビーの前で服を脱ぎ捨て下着姿になる。
そこで一旦は目を逸らしたブライオニーが再び目をやると
水から上がりずぶ濡れで去っていくセシリアが見える。

当事者の視点で再びそのシーンが繰り返され
セシリアは落ちた花瓶の欠片を拾うために下着になり水に潜ったのだと分かるのだけど
ブライオニーの目には姉がロビーを誘惑したと見えたのかも。

いや、表面上はそうした言い訳が立つシーンてことなんだけど(笑)
ツンデレ・セシリアとロビーの間に言葉にならない愛が既に存在していて
これを機会に2人の仲がだんだん進展していくわけなので
ブライオニーは真実を悟ったと言えると思う(笑)

それに、終盤になって語られるのだが
ブライオニー自身もロビーの気持ちを知りたくて水に飛び込んだ経験があったのだ。
だから、余計に鋭く、この出来事を捉えたのだろう。

思春期ならではの感受性の鋭さ―
作家志望であるだけに豊かな想像力―
“大人”の世界への好奇心と嫌悪感―
芽生えたばかりの初恋を壊された悲しみや怒りや絶望感や嫉妬―
色んな思いが、まだ幼さの残るブライオニーの心に渦巻いたのだろう。


その後、
ロビーが間違えて渡してしまったエロ・レターを盗み見てしまったり
ロビーとセシリアが図書室で愛を交わしているところを目撃してしまったりと
ブライオニーにとって踏んだり蹴ったりの出来事が続くのだけど…

何つーかさ

舞台は少し昔で
服装も家もレトロで
語り口も上品で格調高い雰囲気なのだけど

やってること、現代でも呆れらるほど蓮っ葉じゃね?

ロビーったら―
エロい手紙を書いちゃうのは、若い男なんだから、まあ許そう>何様
でも、それを間違えて渡しちゃうなんて…
それも、セシリア本人にではなくブライオニーに使いを頼むなんて…

アホ過ぎ!

セシリアったら―
ツンデレから愛の告白をするまでは、まあ良いとして
妹が手紙を読んでしまったことを気にしていたくせに
見られる可能性の高い所でイチャつくなんて…

ユル過ぎ!

まあ、映画だから映像的に綺麗なんだけどね。
セシリア役のキーラは本当に綺麗。
存在感もあるし。
胸はないけど>こらこら


でもって“事件”ちゅーのはレイプ事件なわけで…

「噛んで」

ローラを見るなり目の色が変わっちゃって
紳士の顔してロリコンおやじとは…
もうっ、ベニーったらっ>いや、ポールだから

知的で妖精めいたブライオニーではなく
彼女よりも少し大人の入り口に差し掛かっていて
媚を売ることも知っているローラを選ぶとは…
絶妙だわねっ、ベニーったらっ>いや、ポールだっつーの

映画では謎のまま終わっちゃったけど
ローラが弟達に乱暴されたと腕の怪我を見せて泣いていたのは
本当は弟達ではなくポールが相手だったんだろうね。

レイプも本当はレイプではなかったのかもしれない。

結婚式の日、ポールはブライオニーを気にして顔を見ていたけど
ローラは振り向きもしなかった。
彼女はブライオニーの嘘に便乗して意識的にポールを庇ったのだろう。

結果的にローラを妻に迎えたポールは罪を償う気持ちもあったのかな?
いや、少女を誘惑して好みの女性に育て上げたってわけなんだろうな。
紫の上かよっ!?って感じ。
しょーもないわねっ、ベニーったら>だからポールだってば


一瞬とはいえ現場を目撃したブライオニーは
最初からポールと分かっていたのか、その時は誰だか分からなかったのか
それによって彼女の心情が変わってくるわけだけど

多分、後者なんじゃないかな…
ポールの顔が目には入ったけど誰かハッキリ認識してはいなかった。
それが18歳になった時、ポールとローラの結婚を知り
頭の中のパズルが繋がったのだろう。

そうじゃないと辛過ぎるもの…

犯人はロビーだと偽証してしまったブライオニー。
色々と重なって、ロビーはそーいう奴だとイメージが染み付いてしまった?
微妙な年頃ならではの潔癖性が彼を許せなかった?
未知なる“性”への嫌悪感?

それもあるとは思うけど、
彼女はその前にロビーのセシリアへの手紙を最初から盗み読みするつもりでいたし
図書室での出来事をローラに「姉が襲われているところを自分が助けた」と言っているし
清らかな少女…ってわけではないよね。

ロビーへの恋心が歪んでしまったのだろう。
それでも、あれほどの事態になるとは全く想像していなかったと思う。


短い休暇を一緒に過ごすロビーとセシリアの元へ謝罪に行くブライオニー
…という、ちょっと違和感あるシーンの後
老年になったブライオニーは、あそこは創作だと告白する。

ロビーとセシリアは再び逢うこともなく亡くなってしまったから…

謝っても取り返しはつかない。
でも、ブライオニーは謝る機会さえ失ってしまった。
小説の中で謝った上に
セシリアからもロビーからも冷たい態度を取られるというシーンにしたのは
ブライオニーの罪悪感を和らげるため。

同時に
読者の満足感のためにハッピーエンドにしたのだとも告白するブライオニー。

そう、小説の中だけでも2人を幸福にしてやりたい…なんて言っても
肝心の2人に届くわけではない。
読者がホッとするだけ。

それは“つぐない”にはならない。

脳の病気を患っているという老年のブライオニー。
苦悩の人生を歩んで、それでも許しが得られたわけではなく
病気により記憶を失った時に、やっと安らげるのかもしれない。



『Atonement』 2007年/イギリス
原作:イアン・マッキューアン『贖罪』
監督:ジョー・ライト
出演:
キーラ・ナイトレイ(セシリア・タリス)、ジェームズ・マカヴォイ(ロビー・ターナー)
シアーシャ・ローナン(ブライオニー・タリス/13歳)
ベネディクト・カンバーバッチ(ポール・マーシャル)




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